有限会社変換ツール |
1.はじめに
2006年5月1日に新会社法が施行されました。以前の法律では株式会社は最低資本金が1000万円とされており、そのためにやむを得ず一般の有限会社や確認有限会社にしておられた方も多いかと存じます。このツールを使えば、どなたでも増資することなく簡単に有限会社を株式会社に組織変更することが可能です。ただし、株式会社に変更するデメリットにはお気をつけください。
株式会社に変更するデメリット |
なお、有限会社では取締役が1人のときに代表取締役を定めることができませんでしたが、新会社法の下での株式会社では、取締役が1人のときには、その取締役が代表取締役となるという取り扱いになっています。
2.準備
まず、現在の履歴事項全部証明書を法務局に請求して入手してください。こちらの申請書(Acrobat Readerがインストールされていなければなりません)を使って郵送で申請することも可能です。その場合は返信用封筒も同封します。履歴事項全部証明書の発行手数料は1000円で申請書に登記印紙(収入印紙ではありません)を貼り付けて申請します。また、市区町村役場で代表取締役(取締役が一人の場合は取締役)個人の印鑑証明書を1通請求しておきます。
そして、有限会社から変更する株式会社の新しい商号(社名)を決めておきます。新しい商号は有限会社の商号と全く無関係のものでも差し支えありませんが、「株式会社」の文字を商号の前か後に必ず入れなければなりません。
【商号の変更例】 有限会社ポートシステム → 株式会社ニューカンパニー |
また、決算公告が必要になりますのでその方法を決めます。決算公告の方法はホームページに掲載する「電子公告」か官報という政府が発行している新聞に掲載するかのどちらかにするのが一般的です。電子公告をする場合には、改竄を防ぐためにpdfファイルにしなければなりません。また、そのpdfファイルへのリンクが張られたindexページのアドレス(URL)を決めておかなければなりません。
pdfファイルの作成にはMicrosoft Office 2007以降のバージョンで対応しております。 |
新しい商号と決算公告の方法が決まれば本店で株主総会を開催します。株主総会は有限会社のすべての出資者の合意があれば特に手続をしなくても開催することができます。株主総会にはすべての出資者が出席するのが望ましいのですが、どうしても出席できない人は出席できる人に適宜の書式の委任状を渡してください。また、株主が一人でも形式的に株主総会を開催しなければなりません。株主総会では商号の変更を決議します。株主総会を閉会した後に、新しい定款と株主総会議事録を作成します。まず、定款(y2k-1.exe)を開きます。
登録画面が出ない場合はこちらのページをお読みの上、ワード起動時に「マクロを有効にする」を選択してください |
履歴事項全部証明書などを見ながら一字一句間違いのないように現在の登記事項を登録してください。なお、一株の金額とは従来の「出資1口の金額」です。新会社法施行後は順次抹消されますので、「出資1口の金額」が履歴事項全部証明書に見当たらない場合は、「資本金の額」÷「発行済株式の総数」で計算したものが一株の金額になります。数字はすべて半角数字で登録してください。営業年度の始期は、営業年度が4月1日から翌年3月末日まで(3月決算)の場合、「4月」と登録してください。
続いて、株式会社設立のために必要なデータを登録します。
株主総会で承認された新しい商号と公告の方法(「電子公告」にする場合にはチェックを入れて公告のindexページのアドレスを登録してください)、また、株主総会の正確な開催日時と閉会時間を登録します。登記の申請は株主総会の開催日から2週間以内の日を決めて登録します。なお、郵送の場合には法務局に配達された日が登記申請の日になります。2週間を超えますと法務局から例外なく過料が請求されますのでご注意ください。法務局の種類は以下の6種類です。あとは、代表取締役の生年月日を登録すれば完了です。
定款はマクロにより自動的に作成されますのでこれをA4の用紙に1部印刷します。数ページになりますのでホッチキスで左側2ヶ所を留めます。押印の必要はありません。マクロを複数起動すると処理が遅くなりますので印刷が終われば一度ワードを終了してください。以下の書類でも同様です。
ここから先の書類は定款のデータによりすべて自動的に作成されます。 書類を開くためにはユーザ登録が必要ですのでこちらのページをお読みください 【エラーになる場合】メールアドレスまたはパスワードが全角文字で入力されています。半角文字で入力してください。 |
続いて、株主総会議事録(y2k-2.exe)を開きます。A4の用紙に1部印刷しますが2ページになりますのでホッチキスで左側2ヶ所を留めます。株主総会議事録には取締役の氏名の横に認印で各取締役が押印します。また、綴り目を契印します。さらに、捨印を押しておけば、捨印の横に「○字抹消、○字加入」のように書けば書類を訂正することができます。
なお、会社の実印は法律上は「有限会社」のときのままでも法律上は構いませんが、何かと都合が悪いので新しい印鑑を調製します。会社の実印は、一辺の長さが1cmを越え3cm以内の正方形に収まるもので照合に適するもの(印影が複雑過ぎるものや簡単すぎるものは不可)でなければなりません。
その他、ゴム印なども新たに調製するのが便利です。
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実印のみ | 実印と角印 | 実印と銀行印 | 設立3点セット | 設立4点セット |
3.登記申請
有限会社から株式会社に変更するには、有限会社の解散の登記と株式会社の設立の登記を同時に申請しなければなりません。
まず、有限会社の解散の登記に必要な書類を作成します。抹消登記申請書(y2k-3.exe)を開いてA4の用紙に1部印刷します。また、収入印紙貼付台紙(y2k-4.exe)を開いてA4の用紙に1部印刷します。そして、抹消登記申請書に会社の実印(新しい実印を作った場合は新しい実印、有限会社のときのものを使う場合はその実印、以下同じ)を代表取締役(取締役)の氏名の横に押印し、申請書と台紙をホッチキスで左側2ヶ所を留め、同じ印鑑で契印します。そして、台紙の中央に3万円分の収入印紙を貼り付けます。この収入印紙には消印をしないでください。法務局の便宜のため、申請書の1枚目の下部の余白に鉛筆で
2-2 と書いておきます。
次に、株式会社の設立登記に必要な書類を作成します。設立登記申請書(y2k-5.exe)を開いてA4の用紙に1部印刷します。また、収入印紙貼付台紙(y2k-6.exe)を開いてA4の用紙に1部印刷します。そして、設立登記申請書に会社の実印を代表取締役の氏名の横に押印し、申請書と台紙をホッチキスで左側2ヶ所を留め、同じ印鑑で契印します。そして、前節で作成した定款と株主総会議事録を合わせて左側2ヶ所をホッチキスで留めます。先程と同様に、台紙の中央に台紙に記載された金額(資本金が2千万円までの場合は3万円分)の収入印紙を貼り付けます。この収入印紙には消印をしないでください。また、申請書の1枚目の下部の余白に鉛筆で
2-1 と書いておきます。
次に、別紙(y2k-7.exe)を作成します。これは印刷せずにフロッピーディスクまたはCD-Rにテキスト形式で保存します。具体的には、ファイル名「株式設立.txt」・ファイルの種類「書式なし(*.txt)」で「名前をつけて保存」をしておきます(古いバージョンのワードではファイルの種類は「テキストのみ」を選択してください)。なお、CD-Rを使った場合には株式会社の設立登記申請書の「別添FD」を「別添CD-R」と書き換えます。
最後に印鑑届書(y2k-8.exe)を開いてB5の用紙に1部印刷します。印刷が少しぼやけることがありますが差し支えありません。左上の枠内に新しい会社の実印(新しい実印を調製していない場合はいままでの会社の実印)、右下の枠内に代表取締役の個人の実印(認印は不可)を押印し発行後3ヶ月以内の市区町村役場が発行した代表取締役個人の印鑑証明書を印鑑届書にホッチキスで留めます。
そして、印鑑届書・株式会社の設立登記申請書・有限会社の解散登記申請書の順にクリップで留めます。
書類の作成が終われば、法務局の登記申請の窓口に登記申請書とフロッピーディスクまたはCD-Rを提出します。提出の仕方は法務局によって異なりますので窓口で申請書を提示して指示に従って下さい。そのとき、補正日というものが通知されます。(申請人に直接通知する法務局もありますが、掲示によって通知している法務局の方が多いので窓口付近の掲示を見て下さい。)これは、書類の審査が終了する日ですので、必ず覚えておいて下さい。また、登記申請は郵送ですることもできます。代表取締役が法務局に行くことができない場合は申請書を郵送してください。郵送する場合は申請書の余白に鉛筆で電話番号を記載し、封筒には「登記申請書在中」と明記して、必ず簡易書留などの確実な方法で法務局宛にお送りください。郵送は郵便局のサービスでなくても差し支えありませんので、民間宅配業者の信書便で配達日を指定できるサービスを利用して申請書を法務局に送る方が登記の申請の日が明確になり確実です。
窓口で登記申請をした場合は、登記申請書の提出の際に確認した補正日に電話で補正がないかどうかを確認します。補正が必要な場合には代表取締役印を持参し登記官の指示に従って下さい。郵送で申請し書類に不備があった場合、法務局から電話連絡がありますのでその指示に従って、訂正した書類を郵送するなどの処理をすることになります。数日たっても連絡がないときには法務局に電話連絡をして登記が完了しているかどうかを確認してください。登記が完了していれば「履歴事項全部証明書」を請求します。手数料は1通1,000円で登記印紙(収入印紙ではありません)を貼っておきます。「履歴事項全部証明書」は窓口で請求することもできますし、こちらの請求書を法務局に郵送して請求することもできます。その場合は返信用封筒も同封します。
なお、役員の就任の日は登記官の判断で、有限会社で登記された日または株主総会の開催日のどちらかが登記事項として登録されます。この日付から10年以内の株主総会で役員を選任しなおして登記しなければなりませんので、この日付を確認しておいてください。
登記が完了しましたら、すみやかに税務署に届け出るようにしてください。